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名古屋高等裁判所 昭和56年(行コ)12号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

控訴人は行政書士として岐阜県行政書士会の登録を受け、肩書住居地において行政書士の業務に従事していたが、昭和五四年一月一二日岐阜地方裁判所において有印私文書偽造・同行使・詐欺未遂事件により懲役一年六月、執行猶予三年の判決を受け、同年一月二七日右判決は確定したこと、被控訴人は昭和五五年一二月二五日付で、右の事実は行政書士法(以下単に「法」という)五条三号に該当するとして法七条一項一号の規定により、控訴人の行政書士の登録を抹消したことは当事者間に争いがない。

そして法七条一項一号にいう五条三号の事由に該当するに至つたときとは禁こ以上の刑に処する判決の言い渡しを受けその裁判が確定した者に該当するに至つた場合をいい、右の者には禁こ又は懲役刑につき執行猶予の言い渡しを受けた者を含むと解すべきである。

控訴人は禁こ刑又は懲役刑の執行を猶予された者を禁こ以上の刑に処せられた者に含めて解した場合、刑の執行を猶予された者は執行猶予期間満了後二年を経過しない以上行政書士の資格を回復しないことになるのと対比し、刑の執行を受けた者はその執行を終えてから二年の経過により資格を回復することとなり、刑の執行の猶予を受けた者の方が資格の回復が遅れ不公平である旨主張するが、刑の執行を猶予された者については執行猶予の言い渡しを取り消されることなくその期間を経過したとき刑の言い渡しはその効力を失い、二年の経過を待たず行政書士となる資格を回復するに至ると解されるけれども、執行猶予期間中は刑の執行の有無は未確定であるから法五条三号にいう「刑の執行を受けることがなくなつてから二年を経過しない者」に含まれることは明らかであり、控訴人主張の事由をもつて法五条三号所定の者から刑の執行猶予の言い渡しを受けた者を除外し、刑の執行を受けた者に限定して解釈すべき根拠とすることはできない。

さらに控訴人は登録抹消の事由として、法五条三号にいう「執行を受けることがなくなつてから」という概念を容れる余地はないから刑の執行を猶予された場合は登録を抹消すべき事由に該当しない旨主張するが、法七条一項一号にいう法五条三号の事由に該当するに至つたときとは、禁こ以上の刑に処する判決の言い渡しを受け、その裁判の確定した者に該当するに至つた場合をいうと解されることは前示説示のとおりであり、行政書士名簿に登録を受けた者が右の事由に該当するに至つたとき行政書士の資格を喪失することとなる結果、法七条において行政書士会は行政書士名簿からその者の登録を抹消しなければならない旨規定したものであつて、法五条三号に「執行を受けることがなくなつてから」と規定されていることを理由に刑の執行を猶予された者は法七条一項一号所定の事由に該当しないと解すべきいわれはないから控訴人の主張は採用の限りではない。

したがつて被控訴人が控訴人につき法五条三号に該当するとして法七条一項一号により行政書士名簿から控訴人の登録を抹消した処分は適法というべきである。

(丸山武夫 名越昭彦 木原幹郎)

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